誰にコーチをつけるのか?
グローバルリーダーズフォーラム2012より

先日、コーチA主催の「グローバルリーダーズフォーラム2012」が
東京で開催されました。定員50名のところ、事前のお申込みは100名を超え、
改めて、日本企業のヘッドクォーターがグローバルビジネスに対して強い
課題意識を持っていることを感じます。

ここで、フォーラムの最後に皆さんにご協力いただいたアンケート結果の
一部をご紹介します。


Q.グローバルビジネスを強化するうえで、貴社ではどのような課題を抱えていますか。
(複数選択可)

 日本人社員のグローバル化       53%
 海外拠点長のリーダーシップやマネジメント 41%
 グローバルリーダーのタレントマネジメント 40%
 本社と現地との円滑なコミュニケーション  34%
 海外拠点の組織活性化や組織風土改革   28%
 ミッション・ビジョン・バリューの海外拠点浸透 26%
 海外赴任者の選定や赴任前の教育   24%
 ナショナルスタッフへの権限移譲   24%
 ナショナルスタッフの定着率向上   19%
 ナショナルスタッフのリーダーシップ   17%
 市場特性に適応したビジネスの推進   16%
 海外赴任者に対する赴任後ケア・サポート  16%
 海外でのコンプライアンスの遵守   12%
 その他               3%

(有効回答数 58)


「日本人社員のグローバル化」を選ばれた方が5割を超える結果となっています。

参加された方が、本社のグローバル人事、経営企画、経営者の方が中心だったこともあり、
海外拠点の職場に典型的な課題というよりは、全社的な課題に対する意識が高い結果と
なっているようです。

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この4~5年で、日本企業において「コーチング」は一対一の人材開発の手法
として広く認知されるようになってきたと感じます。

それに伴い、コーチング導入企業との議論は、
「コーチングとは何か」
「コーチングの有効性とは」といったものから、

「誰にコーチをつけるのか」
「いつ、どのような目的でコーチをつけるべきか」
に変わってきています。


3月にニューヨークで開催されたExecutive Coaching Conference で行われた
CCL(Center for Creative Leadership)の発表(*1)では、
企業のコーチングの活用方法は以下のように進化してきているとありました。

Ad Hoc Coaching
  ↓
Organized Coaching
  ↓
Extended Coaching
  ↓
Coaching Culture
  ↓
Business Strategy Driver


問題が起きてから、その解決策としてコーチをつけるAd hoc型から、
多くの先進企業が、ビジネス戦略を実現するためのBusiness Strategy Driver
としてのコーチング活用へと、移行していきている、ということです。


では、「グローバルビジネスを強化する」というビジネス戦略の実現にむけて
コーチングの活用を考えた場合、一体誰にコーチをつけるべきなのでしょうか?

私自身、現在「グローバルビジネスの加速」を目的としたプロジェクトに
複数関わっていますが、コーチングの対象は様々です。

 ・海外拠点長
 ・駐在員
 ・日本本社の海外事業部の部長
 ・トレーニー

ある企業では、ビジネスの立ち上がりが順調でない海外拠点長に
コーチをつけました。

ご本人自身も課題を認識しているため、コーチと話し合いながら、
ひとつずつアクションをとっていきます。

今までは通訳を介していたミーティングで通訳を廃止。
ローカルスタッフと定期的に話し合うミーティングをスタートさせる。
残念ながら辞めてしまう社員から、理由をきちんと聞くようにする。

ひとつひとつの努力の積み重ねの中、ローカルスタッフから、
今までにはなかったような提案や動きが出始めたころ、
こんな嘆きが聞こえてきました。

「ローカルスタッフへの権限移譲を進めてきたが、肝心なところで日本本社から、
自分のところへ相談が来てしまい、ローカルのやる気を削いでしまった」

「優秀なローカルスタッフを役職に登用したくても、本社からくる書類やメールは全て日本語。
どうしても日本語ができる社員が評価され、現地で本当に優秀な人材は
  日本語ができないだけで役職に登用できない」

「本社からの方針が180°変わってしまい、合理的な説明がない。
ローカルスタッフには到底理解してもらえず、結局辞められてしまった」

いくらビジネスを加速させようと拠点スタッフと共に取り組んだところで、
日本本社からの見方や姿勢が従来のまま固着してしまっている。
日本本社の意思決定の前提がグローバル標準になっていない・・・。


一方で、ある企業では、すべての駐在員に駐在前からコーチをつけることを
制度化し、本社のグローバル人事がプロジェクトオーナーとなっています。

コーチングが進んでいくうちに、一人ひとりの課題や、現地化の難題はもちろん
ですが、本社と拠点との間に生じている様々なギャップも明らかになってきています。

 「拠点にいくら言っても実現しない」
 「本社は分かってくれない」

駐在員と本社の間で表出化するひとつひとつの課題を丁寧に取り上げ、
解決策にむけた取り組みを始めています。

全駐在員にコーチをつけているからこそ、
また、本社にいるグローバル人事がこのプロジェクトの細部に関わっているからこそ
得られている変化があります。

まだ始まったばかりのプロジェクトですが、
駐在員個々のリーダーシップを高めることにとどまらず、
組織のビジネス戦略の実現に向けてコーチングを活用できている
一例と言えるのではないでしょうか。

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コーチングによって目指す成果を、
海外拠点における駐在員の行動の変化とするか、
組織全体のグローバルビジネス戦略の実現とするかなどによっても
「誰にコーチをつけるのか?」は大きく異なるものになります。


冒頭のアンケートでは、半数以上の方が、
「日本人社員のグローバル化」を課題としてあげられていました。

その背景には、グローバルビジネスの最前線に立つ人たちの苦労や
日本企業の実情が見え隠れしているように思います。

「日本企業のキーマンはまだまだ日本人であり、
 日本本社にいる影響力の高いリーダーのリーダーシップや
 グローバルビジネスに対する捉え方や関わり方に
 変化がない限り、グローバルビジネスの本当の意味での強化にはつながらない」

そんな声が聞こえてくるようです。

改めて、組織全体のグローバルビジネスの加速を目指すのであれば、
一体誰がコーチを必要としているのでしょうか?

皆さんと引き続き対話していきたいと思います。

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